Findy Teams Lab

NEW

イベントレポート

エンジニア自ら「一緒に働きたいメンバー探し」を。 アンドパッドとLayerXが取り組むエンジニア採用と組織づくり

エンジニア自ら「一緒に働きたいメンバー探し」を。 アンドパッドとLayerXが取り組むエンジニア採用と組織づくり

近年、メガベンチャーの増加やスタートアップの大規模調達などによって、エンジニアの採用や組織づくりの重要性は増しています。2022年4月27日に開催した『【アンドパッド×LayerX】CTO/VPoE経験者が挑むスタートアップのエンジニア採用・組織づくり』では、株式会社アンドパッドの米山諒さん、株式会社LayerXの柴山嶺さんをお招きし、両者の採用や組織づくりの課題、エンジニアが採用に関わる意義、面談の型化や質向上など、多岐にわたるトピックを語っていただきました。 モデレーターはファインディの取締役CTO佐藤が務めます。

目次

パネリスト

米山 諒さん/株式会社アンドパッド [@yulii]

andpad-yoneyamasan 早稲田大学大学院在学中、創業期のビズリーチにインターンとして参加。2011年4月、リクルートに入社し、プロデューサーとして新規事業の立ち上げ、事業運営責任者を務める。フリーランスとして複数社のスタートアップを支援後、株式会社LiBを創業し取締役CTOに。現在はアンドパッドの組織戦略部の部長として、開発本部の組織戦略にコミットしている。

柴山 嶺さん/株式会社LayerX [@serima]

layerx-shibayamasan 東京高専を卒業後、国立大学に3年次編入するが、スタートアップを創業するため中退。 その後、複数の事業会社にてサーバサイドエンジニアとしてジョイン。株式会社GameWith にてプロダクト開発組織のマネージャー(Engineering Manager/VP of Engineering)を経験したのち、現在は株式会社LayerXのHRBPとしてエンジニア採用や開発組織づくりのサポートをしている。

採用や組織づくりにエンジニアが関わる意義とは?

冒頭では二人が採用や組織づくりに関わるようになった経緯について伺いました。 米山さんは、自身が起業した経験もあり、「技術とビジネスの両立」を常にテーマとして意識されてきたそうです。

米山さん:「『良いプロダクトには組織づくりが大事』というのは、多くの方が体感されていると思います。ですが、私は自分で起業するまで、あまり理解できていませんでした。『やる気のある人たちが集まれば、うまくいくんだろう』くらいの気持ちで、1on1でメンバーに怒られた苦い経験や反省を経て、その重要性に気づいていきました。

その後、本を読んだり他社の話を聞いたりして、試行錯誤を重ねるなか、組織づくりを人事や経営者だけではなく、エンジニアが主体となって担う意義を感じるようになりました。

プロダクトに関わるメンバーの組織づくりを専門に行うチームがあってもいいのではないかという想いから、アンドパッドにジョインしたタイミングで、『組織戦略部』を立ち上げました」

LayerXの柴山さんは、複数の会社を経験するなか、人や組織と向き合う楽しさ、発揮できる価値を実感し、採用や組織づくりに関わるようになったそうです。

柴山さん:「元々は、ユーザーにどのような価値を届けるかを考えるのが好きで、開発に携わってきました。ただ、開発の経験を重ねるなかで、人や組織に向き合ったほうが、自分はよりバリューが出しやすいのではと考えるようになったんです。そこからEMやVPoEとして、組織づくりや採用にも関わるようになりました」

LayerXの現職を選んだ背景には「プロダクト開発をやりながら採用にフルコミットするのは難しい」という実感もあったと言います。

柴山さん:「エンジニアの採用は厳しい状況が続いています。ですが、EMやVPoEだと開発にも一定のリソースを割く必要がある。採用にフルコミットできれば、もっといい人を採用できるのではないか、より良い候補者体験を設計できるのではという葛藤は常にありました。

異なるポジションがないかと模索していたところ、LayerXの人事である石黒さんに悩みをお話しさせていただいて。人事としてエンジニア採用にコミットする現在のポジションにたどり着きました

event1

候補者と丁寧に向き合うことと組織のスケール

続いて両者のエンジニア採用における課題、中長期的な取り組みについて共有いただきました。

柴山さんは、一人ひとりの候補者と丁寧に向き合うこと、会社やHRとしての組織のスケールなどを挙げます。

柴山さん:「今は、候補者に丁寧かつ真摯に向き合っていかないと、採用できない環境だと思います。中長期でも、短期でも、一人ひとりの候補者体験を良いものにする意識は大事にしたいと思っています。

一方、会社としてはいかにスケールできる組織にしていくかをテーマに据え、オペレーションの効率化、行動指針の『Bet Technology』が指す自動化などに取り組んでいます。

現状、アトラクトもクロージングも、かなり属人化していますし、自分自身かなり『ハイタッチなリクルーター』だと思います。ここからどれだけHRとしてスケールできる状態を目指すか、実現していくかは重要なテーマです」

米山さんも柴山さんと同じく「一人ひとりの採用体験をどうより良いものにしていくのか」を考え、取り組んできたと言います。

米山さん:「数字を追っていると、つい『何人採用しなきゃいけない』という話になってしまうのですが、その数字の奥には一人ひとりのキャリアや人生がある。アンドパッドの選考を進めていただくなかで、なぜ今入社するのがいいのかといった意味づけや入った後の活躍プランなどのすり合わせは、非常に大切だと感じます。

現状の課題としては、組織が拡大し、面接官の数が増加するなか、採用から入社後の活躍までどのように一貫した体験を届けていくのか。対応する人によって体験に齟齬が出ないよう、全体としての認識を揃えつつ、いかにチームでうまくバトンを渡していくのかなどですね」

event2

加えて、柴山さんはBtoB SaaS自体に興味を持ってもらうための取り組みも強化していきたいと語ります。

柴山さん:「BtoB SaaSというビジネスモデル自体に足を踏み入れようと思ってもらうためのストーリー作り、トレンドの促進は、注力したいと思っています。最近始めたものですが、『SaaS.tech』というSaaSに関わるエンジニアやプロダクトマネージャーが集まる勉強会を主催しています。」

event3

エンジニア自ら「一緒に働くメンバーを選ぶ」ことの意義

続いて佐藤が「エンジニア経験がどのように採用に活きているか」を尋ねます。両者が挙げたのは、技術的な背景知識や文脈を理解して面接できる点、現場で開発に取り組むエンジニアの面接負担を減らせる点でした。

さらに米山さんは「採用においても新たな技術トレンドへのキャッチアップは重要。エンジニア経験があると、最新の技術トレンドなども、既存の文脈や経緯と関連づけて、概要を素早く掴める」とエンジニア経験が活きる点を挙げました。

次に話題に上ったのは「現場のエンジニアが、どのように採用に関わると良いと思うか」について。

米山さんは「自分で一緒に働きたい人を見つける」気持ちで「たった一つのアクションでも関わってみる」意義を語ります。

米山さん:「エンジニアは自分自身で勉強することも大事ですが、周囲のチームメンバーから教わったり、逆に教えたりして、新たな発見や知識を得ることが多々あると思います。

ですので、共に働く人がどういう人かはとても重要。チームとして楽しく働く、 モチベーション高く働くためのメンバーを選ぶという意識で、採用に関わってほしいなと思います。

もちろん関わり方は様々あると思います。面接に出て、技術的な質問やディスカッションを楽しみ、『この人と一緒に働いたらどうだろう』を確かめるのもそうですし、テックブログを書く、今日のようなイベントに登壇するなども、採用活動の一環だと思います。

さらに小さいアクションとして、SNSで求人をシェアするとかでも良い。たった一つのアクションでも関わってみると、採用やチームづくりが自分ごと化されやすいのではと思っています。

『この人来月から来るから』と人事が連れてくる形だと、入社する側も緊張するし、受け入れる側もジャッジするような態度になってしまいやすいです。業務の中で面接してしまうわけですね。そうすると、やはり入社した人の活躍の可能性は減ってしまうと思います。

ですので、何かしらの形で採用の一部を担っていただいた方が、入社する側、受け入れる側、双方にとってハッピーなのではと思います」

柴山さんも米山さんの話に頷きつつ、LayerXの「自分たちで自分たちの仲間を集める」カルチャーを紹介します。

柴山さん:「求人のツイートだけでも、採用活動に関わっているというお話は非常に共感します。LayerXには、自発的にnoteを書いたり、Meetyで人と話したり、自分から発信する方が多く、手前味噌ながらとても良い組織だなと思います。アドベントカレンダーの投稿を呼びかけると一瞬で枠が埋まるほどです」

キャプション文字
“なぜかよくわからない季節にやっている”というLayerXのアドベントカレンダー

加えて『紹介したくなる組織になっているかどうか』という検討も大事なのではと、柴山さんは付け加えます。

柴山さん:「例えば『求人公開しました。シェアしてください』と言ったときに、シェアしてくれない人が多い場合、なぜシェアしないかなどは、丁寧にヒアリングして、現状を把握できるといいと思います。一見遠回りのようですが、なぜ自分たちが今のチーム、組織で働いているのかの意味づけや紹介したくなる理由、したくない理由などは、深掘りしていくと、採用に必ず活きてくるはずです」

カジュアル面談の質担保や型化、見るべきポイントは?

イベント後半では、両者が今後形にしたいエンジニア組織の形について聞きました。

米山さん:「チームづくりや組織づくりは、決してマネージャーや経営者だけの仕事ではないと思っています。エンジニアのメンバーも、チームづくりや組織づくりに貢献できる、コントロールできるという手応えを作っていきたいと思っています。

皆さんご存知だと思うのですが、『コンウェイの法則』という考え方では、ソフトウェアのアーキテクチャと組織の設計は連動するものと捉えます。そのため両方をちゃんと磨いていくことが大事だと思っています。

磨いていくにあたって、組織づくりに詳しい人がゼロからエンジニアリングやコンピューターサイエンスを学ぶのは、なかなかハードルが高いと思います。もちろん、どちらも大変なのですが、エンジニアリングを知っている人が、少しずつ組織づくりを実践しながら学んでいく意義は、労力に対してとても大きいと思っています」

柴山さんは「カルチャーや思想、考え方の密度や濃度を保ったまま、組織をスケールさせること」と語ります。

柴山さん:「冒頭でお話しした通り、いかにスケールできる組織にするかは、肝だと思います。一方、カルチャーの濃度や密度を保てることは大前提です。特にLayerXは顧客の課題解決に向き合っているエンジニアばかりですので。そういうカルチャーを維持しながらどうスケールするかが、1年くらいの大きなチャレンジになっていくと思います。

加えて、属人的にやってきたことを、どれだけ型化やデリゲーションしていけるのか。基本的なところですが、今まさに取り組んでいるところです。

あとは、顧客のペインをいかに自分ごと化してもらうのか。LayerXの場合、お客様が結構近い距離にいることもあって、開発した機能について、お客様から喜びの声がほぼ直接届く環境です。小さな成功体験を通して、これは自分が解くべき問題なのだと、少しずつ理解いただいていると感じています」

event5

イベント終盤では、採用や組織づくりについてより具体的な困りごとや質問が上がりました。

一つ目は「カジュアル面談を担当するメンバーが増えても、質を担保するため、どのように型化しているのか」というもの。米山さんは「あまり型化は強く意識していないが、ナレッジやテクニックは積極的にシェアしている」と回答します。

米山さん:「会社の説明や資料などは共有のものがありますが、基本的には各々オリジナルにやってもらってます。ある程度のストーリーラインは決めておいて、そこからぶれるのは仕方ないというか、むしろ活かしていくイメージです。

一方で、EM同士で勉強会を開き、うまくいった質問や面接の流れをシェアすることは多々あります。どのように会社を説明すると上手く興味を示していただけたかなど、具体的なテクニックベースで聞いて、お互い取り入れています。綺麗に整理しているというより、お互いにシェアして、質を相互に高めている感じですね。」

さらに「担当者間でどのように採用基準を揃えているか?」「エンジニア採用において特にみるべきポイント」についても柴山さんが回答します。

柴山さん:「採用基準を明確に言語化はできていないのですが、『この候補者の、この部分はGood、この部分はMore』といった申し送りを共有していくなかで、少しずつ揃えていけるといいのかなと思っています。LayerXもここは手探り状態で、『何か一つでも迷ったらお見送り』といった基準はあるのですが、キレイな言語化はまだまだこれからですね」

最後に、採用や組織づくりにおいて、二人が参考にしている参考文献も紹介いただきました。

米山さんが挙げたのは 『チームトポロジー 価値あるソフトウェアをすばやく届ける適応型組織設計』です。

米山さん:「最近出版された書籍で、用語も独特。一人で読むより何人かでディスカッションしながら読み進めると、理解が進むかと思います。アンドパッドでも有志で集まり、書籍で紹介されている基本的なチームタイプについて『私たちの組織で言うとこんな感じかな?』など、実例と紐付けて理解を深めています」

柴山さんが挙げたのは『エンプロイーエクスペリエンス』です。

柴山さん:「エンプロイーエクスペリエンスは、前職のエンジニア時代に読んで、一つのブレイクスルーになりました。要は候補者体験と従業員体験は繋がっていて、それはサイクルになっているといった、基本的な考え方が紹介されています。良い従業員体験が生まれたら自然とリファラルも発生するなど、全部繋がっている。その循環のどこにフォーカスを当てるべきか、戦略を立てるにあたって、ヒントになるのかなと思いました」

個の候補者体験と丁寧に向き合う重要性や採用にエンジニアが関わる意義、“自分ごと化”するための小さなアクション、面談の質向上やナレッジシェアの取り組みなど、現場のリアルな課題とともに共有されたイベント。お二人は「採用や組織づくりは非常に難しい領域」と前置きしつつ、柴山さんは「挑みがいがある、うまくいったときに発揮できる価値、インパクトは大きい」と、米山さんは「今後もこうした機会でナレッジをシェアし、よりよいIT業界、世界を目指していきたい」と語ってくださいました。

Findyでは「挑戦するエンジニアのプラットフォームをつくる。」というビジョンのもと、引き続きエンジニアの組織づくりにまつわるイベントを定期的に開催しています。 ぜひイベント情報をチェックしてみてください。 https://findy.connpass.com

関連記事

組織のサイロ化を前提としたチーム構成、育成の仕組みとは?はてなとChatworkのエンジニアマネージャーがリモートワーク下のマネジメントを語る

組織のサイロ化を前提としたチーム構成、育成の仕組みとは?はてなとChatworkのエンジニアマネージャーがリモートワーク下のマネジメントを語る

イベントレポート
エンジニア組織の開発生産性を いかに定量化し、改善する?〜マネーフォワードとアンドパッドの EM・テックリードによる実践〜

エンジニア組織の開発生産性を いかに定量化し、改善する?〜マネーフォワードとアンドパッドの EM・テックリードによる実践〜

イベントレポート
データで振り返るエンジニア組織の生産性向上 〜NewsPicks & PR TIMESの事例、DevOpsの取り組みからデプロイ頻度の計測まで〜

データで振り返るエンジニア組織の生産性向上 〜NewsPicks & PR TIMESの事例、DevOpsの取り組みからデプロイ頻度の計測まで〜

イベントレポート
事業で勝つためのマネジメントとは。エンジニア組織づくりの裏側を一休伊藤氏とスタフェス柄沢氏に聞いてみた

事業で勝つためのマネジメントとは。エンジニア組織づくりの裏側を一休伊藤氏とスタフェス柄沢氏に聞いてみた

イベントレポート

エンジニアリング組織の
パフォーマンスを最大化

Findy TeamsはGitHubやJiraなど
エンジニア向けツールを解析することで、
エンジニアリング組織の生産性を可視化するサービスです。