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潜在的な課題を特定し、数値に基づく目標設定へ。設立3年目で開発生産性向上を目指すミチビクの取り組み

潜在的な課題を特定し、数値に基づく目標設定へ。設立3年目で開発生産性向上を目指すミチビクの取り組み

取締役会運営の効率化を支援するツール「michibiku」を運営するミチビク株式会社では、エンジニア組織における個人の振り返りや組織の課題発見に、エンジニア組織支援クラウド「Findy Team+」を活用いただいています。

今回は、ミチビクのCTOを務める金杉さんにインタビュー。開発生産性の可視化における取り組みに「Findy Team+」をどのように活用しているか、導入後に組織やメンバーにどのような変化があったかなどについて伺っていきます。

目次

開発組織が拡大するなか、課題が顕在化しない状況に

――まず最初に、金杉さんの主なご経歴と現在の業務について教えてください。

金杉:新卒でワークスアプリケーションズに入社し、エンジニアとしてのキャリアをスタートしました。その後、スタートアップ企業で開発のマネジメントなどに携わったのち、自分の力試しをする気持ちでフリーランスとして独立。フルスタックエンジニアとして、何社かお手伝いさせていただきました。

そして、もともと正社員時代に働いていたスタートアップ企業で、弊社の創業メンバーである中村と渡部と一緒に仕事をしていた背景から、ともにミチビクを創業。ミチビクではCTOをしています。

――開発組織の規模や体制について教えていただけますか?

金杉:現在、日本とオフショアに拠点があります。自分が開発チームとデザインチームの2つを持っていて、開発組織の規模としてはオフショアを含めて15~16人。マネジメントしているのは自分のほかに、オフショアをメインでマネジメントしているブリッジエンジニアが1人います。

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――設立された当初、開発組織は何名でしたか?

金杉:設立した当時は2人でした。

――開発組織の人数を拡大していくなかで、組織の課題になっていたことがあれば教えてください。

金杉:日本チームでは、人数が拡大してもスピード感を維持するためにどうすればいいかを考えていました。課題は特に顕在化しておらず、課題を見つけようと1on1などで話を聞いても、みんな「このままでいい」と言っていたんですね。他の会社で働いていた経験から比較しても、今のチームはうまく回っているとのことで、困っていることが顕在化していませんでした。

――「Findy Team+」を導入いただいたのは、どのようなきっかけからでしたか?

金杉:課題がない組織はないだろうと思っていたものの、定性的な情報からは課題を見つけることができなかったわけですね。そうしたとき、ファインディさんはCTOのイベントにたくさんいらっしゃっていたので、「Findy Team+」のことも知っていたんです。CTOの佐藤さんとも知り合いですし、プロダクトマネージャーの方ともお会いしたことがあり、そうしたきっかけで問い合わせさせていただきました。

――開発生産性の可視化にあたって、設定されたゴールはありましたか

金杉:課題が見えていない状況だったので、まず最初の3ヶ月で課題の特定。その次の3ヶ月で、課題に対する分析や対応を行うことにしました。その次の6ヶ月で、課題すべてに対応し切って「Findy Team+ Award」※の表彰ラインに乗せることを目指しています。

(※「Findy Team+」 利用企業を対象に「エンジニア組織の生産性指標」を算出し、「組織規模、チーム別」および「優れた取り組み」を表彰するアワード)

――「Findy Team+」導入前は、定量的なデータの計測はされていませんでしたか?

金杉:基本的には、ロードマップに間に合っているかどうかを見ていました。2~3ヶ月のエピック単位で見て、リリースしたいバージョンに間に合っていればOK。それはずっと未達になったことがなく、問題になっていませんでした。

顧客から要望があったさまざまな新機能をつくる必要があるフェーズなのですが、ビジネスサイドと合意を取りながら、「このバージョンに間に合わせます」といった約束に応えるように進めていました。

数値の可視化にあたって重要なのは、本質を見誤らないこと

――KPIとしてチームで設定されている定量的な指標はありますか?

金杉:下記のような形で、目標スコアを表にしています。開発生産性スコアサマリでは、Findy Team+ Awardの表彰ラインを考慮して、ある程度の余裕を持たせた数値を目標スコアとして設定しました。ほかには、主に見たいサイクルタイムやDevOpsの目標スコアを設定して、マンスリーで振り返りをしています。

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――取り組みによって数値が改善した事例があれば教えてください。

金杉:現時点で数値が改善したのは、リードタイムです。なかでも、大きく改善したのはアプルーブからマージまで。あとは、レビューからアプルーブまでですね。僕らは1ヶ月で間に合わせればよかったので、そのあたりはあまり意識していなかったのですが、可視化されたことによってアプルーブからマージまでは約90%減少、レビューからアプルーブまでは約30%減少と劇的に改善しました。

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ーーレビューからアプルーブまでの改善について、金杉さんに偏っている部分があると伺ったのですが、分散していく取り組みを行ったのでしょうか?

金杉:分散についてはまだ移行中で、今レビュアーの育成などに取り組んでいるところです。数値に効いていると思うのは、プルリクのサイズを小さくしていったこと。それによって、レビューのしやすさが向上しました。

それから、やはりレビューの指摘が入ると、アプルーブまでにより時間がかかります。アプルーブまでの速度を意識して、以前あった指摘を繰り返さないような取り組みもしていて、そういったところも効いてきたのかなと思います。

――「Findy Team+」の活用について、社内で理解を得ていくにあたって難しかったことはありましたか?

金杉:2つに分かれます。費用面を判断するのはCEOなので、まずはそこを口説くのが大変でしたね。ファインディさんと一緒に作戦会議をしながら、「Findy Team+」を導入して生産性が上がれば、顧客にとってもビジネスとしてもメリットがあるんだということを伝えていきました。

もう1つは社内のメンバーで、そちらはトライアルで導入した時点で、みんなから良い反応が返ってきました。特に自分の肌感と違う部分が見られるので、そこが面白いといった声がありました。あと、こうしたツールを使って、どうやってチームをより良くしていくかを考えるのが好きなエンジニアもいるので、そういう面でも良かったです。

――自分のアクティビティやチームのデータが可視化されることに、抵抗がある人はいませんでしたか?

金杉:そういう人はいないですね。そういった考え方の人は、そもそも弊社のカルチャーとマッチしないと思います。

――取り組みを進めていくにあたって、難しかったポイントはありましたか?

金杉:数値の改善をするためには、それまでの社内の開発フローを変えなければならず、その意思決定が正しいのかという判断が難しかったです。定量的に可視化して、本当にそのスコアが改善することが良いことだと定義して進めるのか。本質を見誤ってスコアの改善だけに注力してしまわないか、といった部分が難しかったですね。

――そうした部分に対して、意識したことや心がけたことがあれば教えてください。

金杉:まず1つは、やはり本質を見誤らないところ。結局、もし数値が良くなったとしても、スケジュールに間に合わなくなったら本末転倒じゃないですか。そこは意識して、あくまで数値だからということをメンバーにも伝えていました。

もう1つは、この数値の改善をまず1年間のトライとしたところ。取り組みが上手くいってスコアが改善したら、その結果として、社内で何が変わったのか見えてくると思うんです。僕らは定量的な指標がなく、課題が見えなかったところから始まっていますから、まずはトライして結果を見てみようということですね。

良い意味で裏切られた、「Findy Team+」導入後の印象

――ここまでにお話いただいた以外にも、開発生産性の計測によるベネフィットを感じた部分はありましたか?

金杉:「Findy Team+」の開発生産性スコアは相対比較なので、他の会社と比べてどうなのかわかるところが面白いですね。自分たちのこの数値はイケてるなとか、他社はもっとリードタイムが速いんだなとか、そういった比較ができるのはありがたいです。

あと、予期せぬベネフィットだったのは、日本と比べてオフショアの生産性が良くないと気づけたこと。上手くまわしていくためにさまざまな施策をして、アウトプットは問題ないと思っていたのですが、もっと改善できるところがあると気づきました。そういったオフショアや受託の管理にかなり有用だなと感じます。

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――開発生産性の可視化を通じて、メンバーの意識や行動に変化はありましたか?

金杉:行動や意識の変化は感じています。具体的には、例えばプルリクを小さくするといったチームで決めたトライに対して、今まではただそう言うだけで、なかなか実行できていなかったんですね。そういった部分で、先ほど挙げたようなKPIに向けて、どうすればいいのかを考えて行動してくれるようになりました。

あとは、レビューのスピードがかなり上がりました。今までレビューは間に合えばいいという意識で、少しおざなりになっていた部分があったんです。それが可視化によって、レビュー速度を上げたらどれくらいスコアが上がるかがわかり、即時レビューするという意識につながりました。可視化しなければ、そこまで意識がまわっていなかったと思います。 導入して1ヶ月でリードタイムスコアが改善し、開発生産性スコアも上昇することができました。

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――金杉さん自身が「Findy Team+」を導入して良かったと感じる部分について教えてください。

金杉:導入してイメージが変わって、かなりポジティブな評価になりました。良い意味で裏切られた感じですね。もともと気になっていたのは、本当にFour Keysが正しいのか、弊社にも当てはまるのだろうかというところ。そこはモヤモヤしながら進めていたのですが、実際はいろいろと可視化できるメリットの方が大きくて、上書きされた感覚があります。

――Four Keysという指標に対する、今の納得感はいかがですか?

金杉:それについてはまだ50%くらいで、先ほどお話ししたこのあとの1年間のトライで腹落ちさせたいというのが正直なところです。弊社のプロダクトは性質上、toBかつユーザーが月に1回くらい使うもの。Four Keysを提唱したGoogleさんを含む、他のtoBプロダクトは、ユーザーが毎日使うものだったりします。なので、即時リリースすべきかといったところは、まだ腑に落ちていません。

ただ、結局はお客様の声が正義だと思うので、そういったトライをしてみようと、今は即時リリースできるように運用を変えている途中です。それでお客様の声が変われば良かったということだし、逆に不具合が増えてしまったら戻そうと考えていて、今まさに検証中です。

――お客様の声は何らかの形で計測されていますか?

金杉:NPSのようなアンケートはまだ取れていません。しかも、年契約のサービスのため、今取り組んでいる内容への回答が1年半後などになってしまいます。なので、アップセルや他社への紹介につながることが増えたら、良い反応だと捉えています。

新たな気づきを得た、オフショアにおける課題の改善へ

――開発生産性の可視化に関して、今後のトライとして考えていることはありますか?

金杉:まず1つは、先ほどお話しした即時リリースですね。そして、今ちょうど取り組んでいるのがフィーチャーブランチの撤廃。すべてdevelopのメインブランチに直マージして、フィーチャートグルで機能を管理することにチャレンジしています。

今までフィーチャーブランチに8つくらいのプルリクを入れていたため、これでおそらくプルリクの作成数が一気に上がるだろうと。プルリクの作成数がアウトプットに響いていると推測しているので、特にオフショアでの数値に大きく変化があるのではないかと考えています。

それから、新たな気づきとしてあった、オフショアにおける生産性の課題に関してですね。明らかに日本チームとの差があることに気づけたので、どういったところから日本チームとの差分が生まれているのか、バイネームでデータを見ながら改善を進めています。

オフショアはコストパフォーマンスや採用の観点でメリットがあると考えていましたが、生産性が上がらないのであれば、日本チームだけでやったほうがいいのではないかという話になってきます。改善を進めながら、オフショアの戦略が正しいのかといったところも含めて見ていきたいと思っています。

――それでは最後に、開発組織についてのアピールや一緒に働きたいエンジニア像について教えてください。

金杉:僕らが掲げているコンセプトは、“和製GitLab”。フルリモートで世界中に従業員がいるGitLabと同じように、僕らも国籍や人種や性別に関係なくチャレンジしていきます。開発生産性を意識する文化も根付き始めていますから、フルリモートでも定量的な面からサポートしつつ、ビジネスとして成長させていきます。

会社のカルチャーを大切にしたいので、フルリモートでもコミュニケーションが取れてアウトプットが出せて、チームのことに責任を持てる。そういう方を求めています。弊社では、ただコードを書くだけでなく、フルサイクルエンジニアのような形で、調査やデプロイ、QA、自動テストなどもしてもらっています。なので、そういうエンジニアの方とぜひ一緒に働きたいと考えています。

――金杉さん、ありがとうございました!

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※現在ミチビクでは、エンジニアを募集しています。 エンジニア採用サイト | ミチビク

※「Findy Team+」のサービス詳細は、以下よりご覧いただけます。 https://findy-team.io/

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